花模様 ●2010年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/ノイバラ
●花材/ ノイバラ、チューベローズ、ピンクッション、ユーカリ、他
●花器/ ウエーブ花器

●交差手法で引き締めを。

 湿地を好むノイバラだが、近年その数も少なくなりつつあり、しまった素材はさらに探しづらい。太陽に当たる場所ではしまるが、雑木が生い茂る環境では日陰となり、枝は伸び、実も着きにくくなる。写真の素材もしまりのない素材故、芯の幹を矯め、互いに交差させ、その中心からチューベローズを出し、方向性を強調させています。ユーカリの表情も豊かに。

ポイント 
 幹を少し撓めて、カーブを作り、それを左右に交差させる。前後の空間を考えながらユーカリを入れ、左方向に長めのチューベローズで方向性を強め意外性とバランスを求めます。
昨年の作例と見比べて下さい。
http://www.k-ikebana.com/
hanamoyou/09.9/09.9gatu.html

水揚げ 水切り。


●花材/ アンスリュームの花と葉
●花器/ 大津寄花堂作花器

ポイント 
 花と葉でリズム感ある構成を引き出します。
 花器の半分まで小石を入れ、その上に剣山を。

水揚げ 水切り。

専慶流/アンスリューム

久留米鶏頭  久留米鶏頭(栽培中)

創造能力は子供の特権!

 「タイムスリップ」…渋滞を避ける為にいつもは通らない回り道、路地を曲がった瞬間、道路いっぱいに書かれた大小様々な絵、まるで一枚の大きな抽象画の様な「落書き」?が目に飛び込んできた。多分花かな、自動車かな、犬かな、鳥かなと思われる絵に混じって、昔遊んだ「けんぱ遊び?」の輪を連ねた絵をそこに見つけ、懐かしさに思わず顔がほころんだ。描いている彼らの創作意欲は旺盛で、汗びっしょりになりながら時には走り回り、何が可笑しいのか笑いが止まらず転げまわり、次の瞬間また道路に座り込んで何かを描き始める。ひと時もじっとしていない。ふざけ合いながら、笑い合いながらまだ何も書かれていない道に次から次へと飽きる事無く新たな絵を描き足して行く。しばし車を止め、そんな子供達の様子や描き加えられて行く絵を楽しんでいた。空想を楽しむかの様に描き出される絵は、不思議に円の変形がほとんどで、何かの形だと考える以前にその言葉にならない柔らかさが伝わって来て、それが穏やかな優しい温かな感情を呼び覚ましてくれた。これも子供は天使と言われる所以だろうか。幼稚園から小学校の低学年位の子供達8人程のこの解放された空間は、一昔前までは特別では無く何処にでもあった当たり前の光景だった。私達世代の者は間違いなく誰もがそんな遊び空間を経験してきたはず。そして忘れてはならない事、子供達が思い思いに空間を楽しんでいる陰には常に親達の温かな眼差しがそこにあった事だ。時には優しく、時には厳しく…共に遊ぶ子は共に守り、共に躾ける。そんな環境が自然に作り出され、地域で子を育んでいた時代。そんな良き時代は終わりを告げ,お隣りさんと言う仲間意識も薄れ、決して崩れる事の無い絆と思われていた母性本能さえ今は…

 暑い外で、ましてや路面にチョークで落書きをして遊ぶなんて、今時考えられないが、私はとても貴重な経験を彼らは楽しんでいると思えてならない。しかし、この行為、迷惑と捉える大人が多いのも事実。汚い、交通の妨げ、危険などの理由で反対する。ならば、自由に表現出来る空間を提供してやればいいのでは。公園の一角でもいい、自由に落書きのできる大きな立体壁面を設置してやればいい。そして一ヶ月に一度、真っ白に消して更新する。「子供らしい」感性を身近に育てる環境整備に大金はいらない。
 先代家元がそうであったように「いけばなは足で」を受け継いできた。素材との出会い、会話を大切にしたいからだ。勿論、栽培にも強く惹かれ、末生から熱い視線で見守る。生育するその時々の姿を見ていると、それまで気づかなかった表情や、根性を発見するのだが、その度にどれほど大きな、そして新鮮な感動を覚えることか。その熱い胸の鼓動は到底文字には出来きない。今年の異常な気象にも負けず、畑では久留米鶏頭が青空に向って光彩を放っている。突然変異を期待して自然交配の種を植えているが、花形と色は二つとして同じモノはない。面白い形をした花塊は手作りゆえの傑作で、来月、その動きある作品を紹介したい。

             華道専慶流 西阪慶眞


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