花模様ロゴ ●2021年8月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

専慶流いけばな眞樹会 西阪慶眞作

 

●夏の造形

 

 

 

 ソテツ、ハナナス、藤の実

ポイント 
 夏休みの造形でもないが、子供達が休みの時にしか出来ない宿題と同じで、まとまった時間のあるときに挑戦しては。この作は水を必要としないもので構成している。ナマものを添えたい時はビーカーなどを忍ばせ、水補給を。

水揚げ不要



●花材/シラン、ダリア、ブレビレアゴールド
●花器/創作器


ポイント 
 外出が少なくなったコロナ禍、特殊環境はすでに1年半以上に。時間の配分も随分変わって来たと思うが、中でも食事時間、食卓に並ぶ料理には一段と興味が。とくに気になるのが食器類とそこに盛り付けられる彩り。そして最初に運んだ食材の口当たりや味。
料理法もさることながら、素材が持つ本来のうま味。地方では専門店はなく、数件のスーパで求める以外手段はない。限られた中で、購入者に求められるのは「目利き」。とくに鮮度は重要ポイント。その程度の事は誰もが認識しているが、ややもすると冷蔵庫の中で消費期限いっぱいに。いけばな素材も生気が命と心得るべしで、可能な限り早く生けて飾りたい。朝夕に氷を数個入れるだけで随分日持ちが良くなる。

水揚げ ダリアは水切り

専慶流いけばな眞樹会 西阪慶眞作

 

アマクリナム

  
多様性時代の個性化


 惑わされず見たいものだけ見、聞きたいものだけ聞く…と云う行動は、我が儘、自分勝手といわれるだろうか。言葉を変えれば、判断のために知りたい情報は、自身の欲求に応じて、情報溢れる現代社会に生きる私達は、容易に手に入れることが可能なのだ。メディアが発する「今」は、様々な形で良くも悪くも否応なく一方的に私達に届き、誰もが持つ知る権利と、真実を伝える使命感から発せられる情報が、時に重くのし掛かって感じられることはないだろうか。何事に対しても、そこに自身のこれ迄育んできた価値観や人生観等々があり、一つの情報に対しても、個々に受け止め方は当然異なりうるのだ。そう、発する方も受け止める方も、それぞれの思いに原点があるから。
 今、あなたが日々欲する情報は何?迷走するコロナ関連、開催の是非が問われる中で行われるオリンピック、7月上旬に起きた近年よく耳にする線状降水帯の発生とそれに伴う大雨や土石流による熱海市の災害等、その一挙手一投足が注目されている日本人メジャーリーガー…テレビのスイッチを入れれば時間差はあっても全ての放送局で取り上げられ、日に何度も繰り返されている。それを耳に、目にしながら、あなたはその都度どの様な思いを抱くのか…
 先月の話になるが、ある公民館の七夕飾りを見た。
余談だが、思えば子供の頃は、短冊に願いを書き、笹に下げ、川に流し…そんな七夕に限らず、風物詩と呼ばれていた風景を目にすることも時代と共に本当に無くなってきた。

短冊に書かれた願いを読んでみて気付いた事がある。自由に投書箱に入れられた願い、拙い子供の字で、「○○が元気でいられますように」大人の字で、「○○が健康でいられますように」大半が誰かの健康を願うもの、また、「○○に会えますように」「○○に会いたい」…明らかにコロナ禍を反映しているのは間違いないだろう。昔は殆どが子供らしく?「○○になりたい」と、夢や願いを綴っていた短冊が、今はあえて探さなければ見つからない程。子供心にも、将来の夢や希望ではなく、目の前の現実が… 
 全ての事柄に対し、それぞれの思いの賛否両論があるのは当然。立場違えば、置かれた環境違えば…更に、大人は自身の判断を表に出すとき、どこかで、その場に合わせた本音と建前といったものも。ただ、もう一度自身に問い直して見てはどうだろう。受け止める出来事の全てを、他人事ではなく、常にもしも自分がその渦中にいれば、当事者であれば…と。降りかからぬ災いに、安易に人への責任転嫁をしてはいないだろうか。どんな場合も人任せではなく、まず、自らが出来る自身と自身の周囲を守る、思いやりある判断、行動が何よりも大切ではないだろうか。どんなに小さな力も、集まれば間違いなく思わぬ大きな力と成りうると云うことを忘れてはいないだろうか。

             華道専慶流 西阪慶眞

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